幾春別川への思い
岩見沢市   石若 茂
石狩川水系の幾春別川は、豊かな流れで、流域に空知平野に続く広大な平坦地を持つ。その自然を生かして、稲作や畑作が営まれ、豊かな環境をととのえている。
私の町会には、この幾春別川と利根別川の二つがある。今思えば炭鉱のあったころは、幾春別川の幌内で石炭を洗う川だったので、炭塵で真っ黒な水が流れていた。でも、そこにはやさしさがあった。
川は、柳・いたどり・雑木に囲まれ、どこを、水が流れているのか分からない川。かき分けて進入すると、漸く下の方に水が流れていた。高木が倒れて、水がさえぎられている所、浅い所、深い所、くぼんでいる所、自然に低い所、よくも、こんなに曲がって流れているものだと思った。
その水の中のあちこちに、手が入るくらいの穴がある。高木の倒れた下に、川ガニがいる。今、売られている毛ガニくらいのものが沢山いた。穴の中に手を入れると、たいてい、カニが入っていた。簡単には捕まえられない。はさみで抵抗する。挟まれると指がちぎれそうに痛い。ついに逃げられてしまう。
川に、はだしで入ると、ちく、ちくと突くものがいる。エビが、足を突く。じっとしていると、何匹も足元 に寄って来る。台所から持ってきたザルで、一気にすくう。何回もすくうと、結構な量になる。家に持って帰り、お湯をとおすと、きれいな赤色になる。おいしい。海からとれるエビと同じであった。また鰊の頭等を持っていき、それを紐か縄にしばりつけ、カニの穴の前にしばらく置いておくと、カニは鰊の匂いと油に誘われて寄ってくる。食いついて食べている所を、少しずつ手前に引っ張りつけて、網ですくう。エビもこれでかかる。このように子供の頃はこの川で、非常に楽しい自然を味わうことができた。
夏には、また楽しい事があった。暑い日は水に入って泳いだ。浅い所、深い所と、その人に適した所があった。水から上がると、体のあっちもこっちもが炭塵で真っ黒になった。今の親に、こんな姿を見せたら何と言うか、想像するだけでも大変だ。
冬はスキーだ。川底まで一気に滑り込む。山までは遠い子供達にすれば格好の場所であった。そして、川に氷が張り、スコップ除雪するとスケート場になる。だが、広くは除雪が出来ないので、ほどほどのリンクしか出来なかった。誰にしても遊び場の良い所が欲しい。それが決まっていて、場所の取り合いになる。特に、川向の子供とは、名前も分からないので争いになったこともある。今思えば、近くに橋がなかったので、交流のないことも原因ではなかったかと思う。
私達に自然を楽しませてくれたり、憩いや安らぎを与えてくれる川も、ひとたび大雨になると、魔の荒れ狂う川になった。堤防が切れると、洪水が稲や玉ねぎ、西瓜、南瓜を一呑みにする。一年、丹精を込めて作った物が、一瞬のうちに駄目になってしまう。
思いは巡る。ある時はゆっくり、ある時はスピードを上げて流れる川。そして石炭も拾える川。角が取れた丸い川炭。冬の川の氷に穴をあけて、ジョレンでかき揚げて川炭を拾った。なかには、1年分ストーブに焚くだけ拾う者もいた。
その後、自然の川も開発が進んだ。堤防の崩れ防止にコンクリート板が敷かれ、底もきれいに完備され、流れが速くなって大雨でも水害の出ない川になった。
今、川辺には公園(親水公園)が造られ、人にやさしい緑と花の豊かな環境が整いつつある。これは、利根別川消流雪用水導入事業の一環である。河畔に貯水池をつくり、水を貯め、降雪時に利根別川に水を流す事業が進められている。この新しい川にも、夏は、ドジョウ・フナ・コイ等の川魚が見られるだろうと楽しみにしている。
幾春別川がきれいになり、サケが上る川となった。私には考えられなかったことだ。小動物も、鳥も、魚も、この川に寄って来るだろう。人間も……。人と自然の関係を結びつける川。これからも大切に付き合っていきたい。

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